先日、「インテル史上最大の失敗」という記事を読みました。
業界では有名な話なのでご存知の方も多かと思います。
実はコロナ禍に於いて、インテル史上最大の失敗は、
私たちに経営の舵取りを示唆してくれます。
そこで今日は、経営方針の転換についてわかりやすく解説します。
このインテルの事例は、2005年に起こりました。
Appleのスティーブ・ジョブズは、第一世代のiPhoneが発売される2年前、
コンピュータの頭脳とも言われるプロセッサの設計と製造を業界最大手の
インテルに依頼しました。
もちろんiPhoneに使われるプロセッサです。
あなたがインテルの社長だったら、この依頼を受けますか?
それとも断りますか?
大きなポイントは、iPhoneが発売される2年前ということです。
ですから、iPhoneは海のものとも山のものともわからない時代です…。
つまり、売れるか売れないかわからないということです。
そういった意味ではリスキーです。
案の定インテルは、この依頼を断りました。
理由は簡単です。
当時、インテルがプロセッサを供給していたデバイスはパソコンです。
まだまだ、パソコンが進化を遂げていた時代ですから、
iPhoneなんていう携帯電話とパソコンを合体したようなデバイスを
誰が使うのか想像もできませんでした。
そもそも、業績は好調だったので、リスクを冒す必要はまったくなかったのです…。
この経営判断のミスで、その後インテルはスマホ市場で大苦戦を強いられます。
さらに、12000人もの従業員を解雇したと言います。
これが「インテル市場最大の失敗」です。
さて、国内に目を向けてみると、ANAホールディングスが経営方針の転換を掲げています。マイレージ会員約3700万人の顧客基盤を活用した旅行、金融などの非航空事業の収入を
5年後に4000億円に増やす計画を明らかにしました。
新型コロナウイルス以前の売上から倍増を目指すことになります。
早ければ2022年度に「ANAスーパーアプリ」を立ち上げ、ANA独自の経済圏の創出を
図るとのことです。
経営方針の転換の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大の中、
主力の航空事業の早期回復が難しく、
非航空事業を航空事業と並ぶ収益の柱に育てる狙いです。
旅行事業のほか、日用品、レジャー、教育、通信、保険、不動産、投資など
幅広い商材を取り扱うデジタル市場を創り出し、スマホのANAスーパーアプリで
決済できるようにする予定です。
また、アプリは「ANA経済圏」構築のための基盤とし、決済のほか、
航空券や旅行商品の予約・購入、会員プログラムの提供など様々な機能を集約させます。
そのほか、航空や旅行だけでなく、マイルを利用できる日常の機会を広げ、
マイルで生活ができる世界を実現させたいとの構想もあります。
移動、宿泊、買い物、体験などの消費活動がアプリひとつで完結する仕組みの構築も
目指します。
このように、コロナ禍を冷静に分析し、早期回復が難しいとのことから、
自社の強みであるマイレージ会員を活かした事業展開に大きくシフトするようです。
先程のインテルとは対象的な動きです。
コロナ以前から行っている既存事業から転換を図るには、
大変なパワーやエネルギーが必要です。
それ相当の負荷もかかります。
今までとは違うことをやるのですから、当たり前の話です。
既存事業ばかりをやっていれば楽です。
面倒なこともありません。
ですが、それでは変化に乗ることはできません。
変化への適応とは、好き嫌いのレベルではなく、生死がかかっているレベルです。
好きだからやる、嫌いだからやるなんて言っていたら、輝く未来はありません…。
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