人間は感情の動物だと言われています。
たとえば、買い物をするときの心理を考えてみましょう。
人によっても違いますが、購入する基準が感情優先の人と理屈優先の人がいます。
感情優先とは「何だかよく説明できないけど、こちらの商品の方が好き」というような心理です。
一方、理屈優先とは「◯◯◯◯の効果があるし、これを使えば将来的には◯◯◯◯というメリットがある」というような心理です。
これは商品によっても異なるでしょうが、大きく分けると購入心理はこの2つに分類できます。
また、感情優先の人は「限定〇〇個限り」「ここでしか買えない限定商品」「三日間限りの特別価格」などのキーワードに反応します。 これらはすべて、商品の機能や品質とはまったく関係のないことで、お客様の感情を揺さぶる言葉でもあります。 昔から、ずっとずっと使われている古典的なマーケティング手法です。
この手法がいまだに効果があるということは、人間の普遍的な感情を刺激するからなのでしょう。
さて、人間には「理由」を言われるとその要求を飲んでしまうという側面があります。 たとえば、あなたが電車に乗ったとします。残念ながら、座席は1つも空いていません。 そこで、目の前に座っている人に、「席を譲ってくれませんか?」と頼んでみました。
もし、あなたが座席に座っている人ならば、このような依頼に対してどう答えますか。
恐らく、無条件に席を譲る人は少ないと思われます。
多くの人が「なぜ、この人に席を譲る必要があるのだろうか?」と考えるはずです。 もちろん、考えた末に席を譲る人もいるでしょうが、断る人も多いと思います。 ところが、「腰が痛いので席を譲ってくれませんか?」と言われると、躊躇することなく席を譲る人が多いでしょう。 理由は簡単です。席を譲らなくてはいけない理由が明確だからです。 これほどまでに、明確な理由があると、何も考えずに行動してしまうのです。
これを心理学用語で「カチッサー効果」といいます。
ハーバード大学の心理学者、エレン・ランガーさんが行った実験が有名です。
その実験とは、被験者にコピー機に並ぶ順番待ちの列の先頭へ向かい、3通りの言い方で依頼をさせました。
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①すみません、5枚なのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?
②すみません、5枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?
③すみません、5枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?
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結果は、①の理由がなく要求だけの時は、承諾率は60%でした。 ②の理由を付け足したときの承諾率は94%にまで上昇しました。 さらに、③の理由を付け足した時も93%の人が承諾して順番を譲ってくれたのでした。 よく考えると、③の要求は明らかに理由としては納得できません。 「コピーをとらなければいけないので」というのは理由になっていないからです。
この実験からわかることは、人は理由を耳にしている時に、理由の内容ではなく「~なので」というフレーズだけを聞く傾向にあるという仮説が得られました。
私たちは、「~なので、~してくれませんか」とお願いされた時、「理由があるならしょうがない」と機械的かつ無条件に要求を受け入れている可能性は大です。
要求を飲んでもらう時は、理由を明確にすることで(その理由が正当なものでも、そうでなくても)、承諾してもらえる確率が格段にアップします。
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