「マーケティング3.0という言葉を聞いたことはあるでしょうか? これはアメリカの経営学者フィリップ・コトラーが著書「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則」で提唱した概念です。 今から10年も前のことです。 この概念が、中小企業にとってもようやく現実味を増してきました。
そこで今日は、マーケティング3.0についてわかりやすく解説します。
マーケティング3.0があるということは、マーケティング1.0や2.0も当然あります。 時代と共に、社会環境が変化すると共に、1.0から2.0に、2.0から3.0にバージョンアップしてきました。5.05.0がリリースされる予定ですが、日本企業の多くはいまだにマーケティング2.0から移行できていないという現実があります。
さて、マーケティング1.0から説明していきます。
マーケティング1.0は、製品を認知してもらい、大衆と呼ばれる一般消費者に販売することを目的としていました。 ですから、製品の機能的価値が重要視され、製品開発に力を注いだ時代です。 まさに、日本の戦後から高度成長期、そして、バブル期がマーケティング1.0の時代といえるでしょう。
「松下電器(現パナソニック)」「SONY」「TOYATA」「日清」など、家電や自動車などの分野で多くの大企業が誕生しました。
1990年代に入ると、マーケティング2.0に移行します。
マーケティングが製品開発中心から消費者中心へとシフトしました。
具体的には、製品を開発して販売することからユーザーを満足させることへ目的が変化しました。
たとえば、企業と製品のポジショニングによって機能的や感情的価値を提案したり、ヒアリングやアンケートによって消費者のニーズを調査して製品に反映させて改良していくなど、マーケティングリサーチが重宝された時代です。
次は、マーケティング3.0の時代に突入するわけですが、その背景にあるのは「ソーシャルメディアの発達」「社会的課題の顕在化」「市場の成熟」の3つがあげられます。 環境破壊や格差などの社会問題が顕在化並びに深刻化したことで、企業の責任やミッションが重要視されるようになりました。 その結果「世界をよりよくするため」に、」企業の社会貢献がマーケティングにおいて重要視されるようになりました。
マーケティング1.0と2.0では「企業がいかに消費者に製品を売るか」という点がメインでしたが、企業と消費者が一緒になり、よりよい世界を共創していくことが、企業の製品が売れることに繋がるということです。
マーケティング1.0と3.0を比較するとその違いは歴然です。
マーケティング3.0の代表的な事例として、アウトドアメーカーの「パタゴニア」があります。 パタゴニアは2011年のブラックフライデーに「このジャケットを買わないで」という、自社製品を買わないでと呼びかける前代未聞の広告でした。 この広告は、大量生産&大量消費社会へ一石を投じました。 「その商品が本当に必要かどうか、購買決定前に熟考せよ」との問いかけです。 パタゴニアは環境を改善するためにビジネス活動を行っているので、ミッションに沿った広告だったわけです。
また、2016年のブラックフライデーでは、売上の全額を寄付するという取り組みを行いました。 当初約2億2000万円の売上を予想していましたが、約5倍強の約11億円の売上を記録しました。
このようにパタゴニアは自社のミッションを実現するためにビジネスを行っており、パタゴニアの顧客はミッションに共感している人です。 これが、マーケティング3.0の代表的な事例です。
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