「モンスター社員」。
それは、まるで静かな湖面に投げ込まれた一石のように、職場全体の穏やかさを一瞬にして奪い去ってしまう存在です。優秀な人材を集め、育成していくことは企業にとって至上命題ですが、その一方で、たった一人の「モンスター社員」の存在が、組織全体の士気を低下させ、生産性を著しく低下させるリスクも孕んでいるのです。
そこで今日は、キャリアカウンセラーであり社会保険労務士でもある中谷充宏さんの著書『小さな会社の採用 お金をかけなくてもここまでできる!』の中で紹介されている、採用担当者へ向けて「モンスター社員を見分けるチェックリスト」をわかりやすく解説します。
本当にチェックリストだけで、応募者が秘めているかもしれない危険な兆候を見抜くことができるのでしょうか?中谷さんは、「転職回数の多い人」、特に「短期離職を繰り返している人」は要注意だと述べています。確かに、短期間で転職を繰り返す人の背景には、企業側が懸念を抱くような事情があるかもしれません。
しかし、転職理由を深く掘り下げずに、回数や期間だけで判断してしまうことは、優秀な人材を見逃してしまうリスクにも繋がります。たとえば、成長意欲の高い人が、よりスキルアップできる環境を求めて転職を繰り返すケースや、会社の倒産やリストラなど、やむを得ない事情で転職せざるを得なかったケースも考えられます。
重要なのは、転職回数や期間ではなく、その背景にある「ストーリー」をしっかりと聞き取ることです。
転職理由を尋ねる際には、「なぜ、そのように考えたのですか?」「具体的に、どのような点が不満でしたか?」と、より深く掘り下げる質問を投げかけることが重要です。
そして、応募者の回答を通して、
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1.自己分析能力:自身の強みや弱み、キャリアプランを明確に理解しているか。
2.問題解決能力:困難な状況に直面した際に、どのように対応してきたか。
3.コミュニケーション能力:自身の考えや気持ちを、
相手に分かりやすく伝えられているか。
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といった点を総合的に判断していく必要があるでしょう。
中谷さん氏が提示する「ヤバい社員の傾向」として、
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☑あいさつがきちんとできない
☑仕事に対して、やる気が見られない
☑指示に対して取り組む姿勢は見せるが完遂できない
☑何かと要求してくるがやるべきことはやっていない
☑極論ばかりで話してくる
☑あいまいさを許容できない
☑譲歩しない(できない)
☑自分のミスや間違いを絶対に認めない
☑他人や環境に責任転嫁する。他責傾向が強い。
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などを挙げています。
これらの項目は、確かに「モンスター社員」と呼ばれる人々に共通してみられる特徴と言えるかもしれません。しかし、これらの項目に当てはまるからといって、即座に「不採用」と判断してしまうことは危険です。
たとえば、「あいさつがきちんとできない」という点一つとっても、「極度の人見知りで、初対面の人と話すことが苦手」「文化や価値観の違いから、日本式のあいさつに慣れていない」など、さまざまな理由が考えられます。重要なのは、表面的な言動だけで判断するのではなく、その背景にある「個性」や「事情」を理解しようと努めることです。
「モンスター社員」問題は、企業にとって深刻な課題であり、その解決策を模索することは非常に重要です。しかし、採用段階で完璧に「モンスター社員」を排除することは、現実的に不可能と言わざるを得ません。
なぜなら、「モンスター社員」と呼ばれる人たちは、生まれながらにして「モンスター」だったわけではなく、多くの場合、職場環境や人間関係など、様々な要因が複雑に絡み合って、問題行動を引き起こしているからです。
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