心理学に「自己開示」と呼ばれるものがあります。
自己開示とは読んで字のごとく自分を開示することですが、自分についての極めてプライベートな情報を相手にありのままに伝える行為です。
心理学の実験では、プライベートな情報を開示すれば、それだけ相手はあなたに好感を持つようになる、ということがわかっています。
ただし、自分を開示するといっても「自慢話」ではありません。
どちらかといえば、自分の「失敗談」や「弱み」を開示することを指すます。
ビジネス上で付き合っている人とは、普段はビジネスの話がメインになります。
そこで、自分のプライベートなことを相手に話すと、そこに親近感が生まれます。
ですので、ビジネスの現場で自己開示という言葉を使った時は、プライベートなことを開示するという捉え方をする人もいます。
また、自分から進んで自己開示をすることによって、相手も自己開示をするのが人間の心理です。
これを、自己開示による返報性の心理と言います。
たとえば、「実は普段は偉そうなことを言っているんだけど、5年前に大失敗をしてしまって、始末書どころじゃなかったこともあったよ…」と自己開示をしたとします。
すると相手も「実は…、私もそれ以上の大失敗をしてるんですよ。
かれこれ10年も前のことになりますが、会社に500万円の損害を与えたんですよ…」と、自己開示をするのが人間の心理です。
先日、クライアント先の若い営業マンに、プロフィールを作って営業先に渡しましょうという提案をしました。
ほとんどの営業マンは、自社の紹介はしますが自己紹介をする人は稀です。
そこで、自分のプロフィールを作成して自己開示をすることによって、相手との距離を縮めることが狙いです。
特に、相見積りがある営業先や、ライバルが多い営業先などには効果があります。
プロフィールシートを渡すことによって、相手との共通項を見つけられれば、お互いの距離が縮まり、商談をスムーズに進めることができます。
そういった意味では、プロッフィールシートは効果的なツールです。
さて、クライアント先の若い営業マンのプロフィールには、彼の趣味が3つ書いてありました。
ひとつ目は、大学時代にロックバンドをやっていて、ギターとボーカルを担当していたこと。
ふたつ目は、映画が大好きなこと。
特にスター・ウォーズの大ファンであることが書いてありました。
3つ目が、プロレスの大ファンで、棚橋選手とのツーショット写真は家宝だということが書いてありました。
このプロフィールを読んだ時、私は彼にものすごく親近感を覚えました。
その理由は、私も昔バンドをやっていたからです。
ロックバンドではありませんでしたがギターを担当していました。
次に、私もプロレスや格闘技の大ファンだということです。
年代は違いますが、棚橋選手の試合は幾度も見たことがあります。
この2つの共通項があるだけで、彼を見る目が大きく変わりました。
ものすごく距離が縮まりましたし、会話をするためのネタもできたわけです。
恐らく先方もそう思っているのではないのでしょうか。
このように、趣味の話題でなくても、たとえば「出身地」「子どもの年齢」「出身校(小学校・中学校・高校・大学・専門学校)」「年齢」「かつて住んでいた地域」「現在、住んでいる地域」など、一瞬で二人の距離が縮まる話題はたくさんあります。
人間は共通項があると、安心してしまい気を許してしまうのです。
こればかりは、人間の心理なのでどうしようもありません。
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