随分前のことになりますが、「今日の仕事は楽しみですか」というメッセージ広告がJR品川駅の通路に…。テレビのニュースでも話題になりましたが、猛烈な反感を買って、すぐに取り下げられました。そこで今日は、仕事は楽しいのか楽しくないのかをわかりやすく解説します。
なぜ、取り下げられるほど猛烈な反発を買ったのでしょうか?
Twitterなどのツイートでは、違和感を表明する人が続出しました。「すげぇ不快」「イラッとくる」「まるでディストピア」などと批判が殺到しました。「朝からこんなもん見せられたら病む」という声もあったほどです。
このツイートは24時間で1万5千回以上リツイートされ、特筆すべきは、そのうち引用リツイートが6000回以上を占めている点で、批判的なコメントで埋め尽くされていたということです。たとえば…
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この広告あると知ったら、確実に品川は避けますね。 朝からこんなもん見せられたら病む。
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何がイラッとくるって、この人たちの「楽しい仕事」が 楽しくない仕事をしてる人たちに支えられてる自覚がまったくないところよ。
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この広告は「AlphaDrive/NewsPicks」という事業支援ブランドをアピールする内容ですから、ターゲットは経営者層だったと思われます。
もし、経営者雑誌の広告ならば、ここまで批判的なコメントが殺到することはなかったでしょう。広告を掲載した場所は、多くの会社員が通行する通路です。参考までに広告費は1週間で100万円とのことです。
なぜ、批判が殺到したのかといえば、会社員はあまり仕事が楽しくないからです。
日本人は世界一、自分の会社を嫌っているというギャロップ社のデータもあります。朝から「仕事は楽しいですか」なんて言われたら、煽られていると感じる人がいてもおかしくないのが、日本の現状です。
私は約10年の会社員生活を送りましたが、楽しいと思ったことはありませんでした。
大きな仕事をやったという達成感を稀に感じることはあっても、決して楽しいという感情ではありません。会社員の日常は、上司に気を遣い、顧客に気を遣い、業績が悪化すればリストラ候補にならないかと心配して…。
経営陣からは、「もっと売上を伸ばせ」「やる気を出せばできる」「成長を目指せ」など、過剰のまでのポジティブなメッセージが発信されることが常でした。当時の私は、このような話を聞いているだけでストレスが溜まりました。
中には仕事を楽しんでいる人もいるのでしょうが、結婚をして子どもができると現実の生活を優先せざるを得ないので、楽しさの優先順位は低くなります。それよりも、どうしたら昇給できるか、どうしたら給料が高くなるのかに重点が置かれます。あとは、できるだけ楽をするにはどうしたらいいのか…。
このような現実を分析すると、経営者も会社員も仕事に楽しさなど求めていないのではと思ってしまいます。「仕事を楽しめ!それが評価基準だ!」という経営者も聞いたことがありませんし、「仕事が楽しいから、もっともっと働きたい」という会社員も聞いたことがありません。これが日本社会の現実です。
これに加えて、仕事が楽しいと感じる人材よりも、仕事ができる人材を採用するのが企業です。当たり前の話です。そういう人材は、こぞって大企業を志願します。
今日は、日本社会のネガティブな面にクローズアップしましたが、これをどう捉えるのか? 経営者と社員には大きな溝があることだけは確かです。私はこれから10年、日本にも仕事が楽しいと感じる人が増えると思っています。人生の3分の1は仕事をしています。楽しいと感じるか、楽しくないと感じるかで幸福度は雲泥の差です。
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