ビジネスの世界では、売上を伸ばすためにどのように営業を進めるべきかは常に議論の的となります。その中でもよく聞かれる質問が、「受注率と受注数、どちらが大事なのか?」というものです。これは特に中小企業経営者にとって、営業チームの成果を評価する上で非常に重要なポイントです。そこで今日は、営業における「受注率」と「受注数」についてわかりやすく解説します。
受注率は、提案した案件に対してどれだけの割合で契約が成立したかを示す指標です。
高い受注率は、営業チームが的確なターゲティングを行い、顧客ニーズに合った提案をしている証拠と見なされます。受注率が高いことは、効率的な営業活動が行われていることを示し、少ない労力で大きな成果を上げていると評価されやすいです。
たとえば、「4件中3件の獲得、受注率75%」という営業マンは、非常に効率よく契約を結んでいるように見えます。この数字は、他の営業担当者や会社全体のモチベーションを高める指標にもなり得ます。受注率の高さは、営業チームのスキルや顧客理解の深さを示すため、経営者にとっても安心材料です。
一方、受注数は、実際に契約が成立した案件の総数です。
受注数は売上の直接的な指標となり、ビジネスの成長を示す重要なファクターです。
「20件中10件の獲得、受注率50%」という営業マンの方が、前述の営業マンよりも多くの契約を取っていることになります。
この場合、量が質に勝ることがわかります。
いくら高い受注率を誇っていても、提案の数が少なければ、最終的な利益に大きな影響を与えません。特に中小企業では、短期的な売上がキャッシュフローに与える影響が大きいため、まずは受注数を増やすことが重要な課題となります。
「質にこだわる」という言葉は、一見すると正しい営業戦略に思えます。
しかし、これが「量を無視する」という意味に転じた場合、大きなリスクをはらむことになります。たとえば、「4件中3件の獲得」という高い受注率に固執する営業担当者がいたとしても、彼が1ヶ月に4件しか提案しないのであれば、ビジネス全体に対する貢献度は低いと言わざるを得ません。
このような営業スタイルは、結果として「働かないオジサン」と揶揄されることがあります。これは、質の追求に固執するあまり、結果的にビジネス全体の成長を妨げる存在となってしまうことを指します。もちろん、質を追求することは大切です。しかし、それは十分な量が確保されて初めて成り立つものです。提案数が少ない状態で受注率だけを気にするのは、営業活動の本質を見誤る結果につながります。
結論として、受注率と受注数のどちらが大事かを問うのは、ナンセンスと言えるかもしれません。ビジネスでは、量と質の両方をバランスよく追求することが求められます。中小企業経営者として、営業チームに求めるべきは「提案の量を増やし、同時に質を高めること」です。
たとえば、10件の提案を行い、そのうち3件が成約した場合、受注率は30%です。
しかし、次の段階では、提案の数を20件に増やしながらも、受注率を40%に引き上げる努力をすることが理想です。量が増えれば当然、質を維持するのは難しくなりますが、それが営業チーム全体の成長につながるからです。
中小企業経営者は、営業チームに対して定量的な目標と定性的な目標の両方を提示することが重要です。たとえば、月間の提案数を20件とし、受注率を30%以上に設定するなど、明確な基準を設けることで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。また、提案の質を高めるために、定期的なトレーニングやフィードバックを行うことも効果的です。
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