営業マンであれば、「受注率」「成約率」という言葉を聞くと胃が痛くなる人もいるだろう。あらゆる仕事がそうだが、商談を行えば「時間」と「労力」と「お金」を使っていることになる。したがって、すべての商談を受注に繋げたいと思うのが営業マンだ。そこで今日は、受注率を上げる意外な方法をわかりやすく解説する。
受注率は「成約率」とも呼ばれ、商談件数に対して成約に至った転換率を表す数値だ。 受注率の把握は、営業活動の効率化を測ることにも繋がる。 また、受注率を算出することで、受注目標に対して必要な商談件数を逆算することもできる。つまり、営業活動を科学的に行えば、営業目標に対して逆算ができるということだ。
しかし現実は、受注率を質問されて即答できる営業マンはまずいない。
また、商談件数に対して見積が提出できた数を「見積率」というが、これも把握している営業マンは稀だ。製造工場のラインであれば不良品率や生産効率などは把握しているが、こと営業活動になると科学的な視点がすっぽり抜けてしまう…。このような現実を直視すると、いかに営業活動が「経験」と「勘」で行われているのかがわかる。
先日、日本講演新聞に「矢野和男」さんの記事が掲載された。
矢野さんは、株式会社日立製作所フェローで、株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。専門は、ウエアラブル技術とビッグデータ解析、AIの活用だ。
矢野さんは、「ポジティブ心理学」という比較的新しい学問について触れている。
ポジティブ心理学では、「幸せ」についての本格的な研究を行っているが、心と体の因果関係が科学的に解明されている。いい気分で「幸せ」を感じると、体内では血圧や血液の中の物質、筋肉の動きや内臓の動き、酵素量、そして呼吸数や発汗量に変化が生じる。
多くの人が常識だと考えている「仕事がうまくいったら幸せになれる」「健康だったら幸せになれる」という因果関係はかなり弱いそうだ。つまり、「〇〇だったら幸せになれる」という考え方は、「〇〇だったら」という条件と「幸せになれる」という結果に、大した因果関係がないというデータが出ている。
そして、因果関係が強いのは、「幸せを感じているから、仕事がうまくいき」「幸せを感じているから、病気になりにくい」という、一般常識とは真逆の結果になった。これについていろんな実験結果が出ている。
さらにおもしろい実験がある。
「幸せだと思っている人」と「そう思っていない人」の2つのグループを作り、それぞれの人の肌に傷をつけ、どちらのグループが傷の治りが早いかという実験をした。すると、幸せな人の方が、傷の治りが早いという結果が出た。
また「幸せを感じている営業マン」と「そう感じてない営業マン」を比べた実験では、「幸せを感じている営業マン」の方が、受注率が平均で約37%高かったというデータが出た。さらに、「幸せを感じている人」の離職率は、「そうでない人」に比べて約半分だったと言うのだ。つまり、ポイントは「幸せ」ということだ。幸せは結果ではなく、原因だと考えるのが妥当だ。
では、幸せの正体は何だろうか?
幸せについてはこの20年来、研究が進んでいる。その結果、「幸せは前向きな精神的エネルギーを持っている状態であること」がわかってきた。さらに、そうした幸せを感じられる力、つまり「幸せ力」は、あたかも車の運転の練習のように、「誰でも訓練すれば高めていくことができる」こともわかってきた。
仕事や人生において、試練や困難がやってきた時の向き合い方は、逃げるか立ち向かうかの2つだ。「幸せ」に近づくためには、常に立ち向かったほうがいいし、「立ち向かうと誓う」ことが大事だ。その方が「幸せ力」が高くなる。
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