中小企業では、後継者不足で悩んでいる社長が数多くいます。
東京商工リサーチの調べによると、2021年の後継者不在率は58.62%で前年(57.53%)より1.09ポイント上昇した。そこで今日は後継者不足と事業承継についてわかりやすく解説します。
代表者の年齢別で後継者不在率をみると、60代が39.2%(前年比1.1ポイント減)、70代が28.2%(同0.9ポイント減)、80歳以上が22.6%(同0.9ポイント減)でした。60代では後継者がいない企業は約4割に達し、代表者が高齢の企業で後継者不在が多い実態が浮き彫りになりました。
後継者「有り」の企業でも、「同族継承」が66.7%を占め親族以外の承継が浸透していません。親族以外への承継の遅れが、後継者不在率を押し上げる一因にもなっている。
後継者不在を産業別でみると、後継者不在率の最高は、情報通信業の76.8%(前年75.6
%)でした。ソフトウェア開発などIT関連業種が含まれ、業歴が浅く代表者の年齢も比較的若いことが背景にあります。また、サービス業他は63.7%(同63.3%)、小売業は61.1
%(同60.7%)で、この3産業は不在率が6割を超えました。
一方、後継者不在率の最低は、農・林・漁・鉱業の50.0%(前年50.2%)。以下、製造業の52.1%(同50.7%)、運輸業54.6%(同53.7%)、金融・保険業54.8%(同53.5
%)の順となりました。
さて、事業承継には、4つの選択肢があります。
まずは「親族内承継」です。
親族内承継とは、自分の息子や娘、また親族内のほかの誰かに事業を引き継ぐことをいいます。中小企業では一般的です。メリットは、早い段階で後継者を選んで育てていける点です。社員や取引先にも後継者として浸透して、スムーズな事業承継が期待できます。一方、デメリットは息子や娘に継がせたものの経営者としての資質が足りず、承継後、会社の経営が上手くいかない場合があることです。
二番目は、「社員承継」です。
息子や娘、親族内に後継者がいない場合は、社員への事業承継も選択の一つとなります。メリットは、その会社で長く働いてきた社員が引き継ぐことで、社内文化や経営方針をそのまま維持できます。一方、デメリットは、社員に株式を買い取ってもらう必要があります。通常、売却金額は高額になり、一社員が準備するのは難しい可能性が大です。また、会社に多額の借入れがある場合は、個人保証を引き継げるほどの信用力があるかどうかもポイントです。
三番目は、「MBO/EBO」です。
MBO/EBOとは、役員・従業員による株式の買収資金を金融機関から借入れることで事業を引き継ぐ手法のことです。社員に引き継ぐことで、社員承継のメリットが期待できますが、リスクもあります。「金融機関による厳格な審査」「既存借入れの個人保証を引き継ぎ、さらに買収資金の借入れの連帯保証も必要」「買収資金のための借入れも重なり、財務体質への影響が大きい」「返済資源は事業キャッシュのため、資金繰りや新規投資などが難しくなる」などです。
最後は、「M&A」です。
M&Aとは、複数の企業を一つの企業に統合したり、ある企業がほかの企業を買収したりすることをいいます。後継者不足の解決策に、M&Aを選ぶ企業は急増しています。2018年のM&A件数は2,800件を超え、それまで主流だった親族内承継ではなく、あえてM&Aを選ぶ経営者も少なくありません。事業承継も一昔前とは様変わりしました。
いずれにせよ、事業承継は計画的に実施することがポイントです。 ●株式会社リンケージM.Iコンサルティングのオフィシャルメルマガの登録はこちら。
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