人間は「損をしたくないこと」を選ぶ生き物です。
つまり、挑戦はリスクと背中合わせですから、挑戦をする人は少ないということです。
これは、行動経済学でも言われています。
たとえば、当たりとはずれのクジが半々あります。
確率は50%です。
当たりを引けば1万円もらえますが、はずれを引くと5000円払わなければいけません…。
このような場合、多くの人がクジは引かないという選択をするそうです。
つまり、リスクを背負ってまで挑戦はしないということです。
よく考えてみれば、確率は50%ですから、5000円損をするのか、1万円を手に入れるかのどちらしかありません。
それでも多くの人は、クジは引かないのです。
そこで、もう1つ条件を加えます。
「クジを引かなかった場合でも3000円もらえます」と。
そうすると、ほとんどの人が「引かない」という選択をするそうです。
なにもしなくても、3000円もらえるのですから、わざわざリスクを犯してまでやらなくていいという結論になるのでしょう。
これは経営でもよく言われます。
現状維持は衰退、だからリスクを背負ってでも変化をしなくてはいけないと。
ですが、どんなにリーダーが「挑戦だ!」「変化だ!」と声高に叫んだところで、部下にそんな気が微塵もないのなら、組織として挑戦や変化に向かって行動することはありません。
かつて、日本は遣唐使を中国に派遣しました。
奈良・平安時代のことです。
当時の船は20メートル程の大きさで、今とは比べものにならない程、航海の技術は未熟だったと言います。
ですから、中国へ向かう船の半分は沈没していたそうです。
先程のクジの話ではありませんが、もの凄いリスクを背負って、中国に渡っていたことがわかります。 20メートルの船には約100人程の遣唐使が乗り込みました。
この100人は高官や留学生で、超エリートです。
遣唐使は4隻の船を出しましたが、これには理由があります。
4隻の船のうち、行きで2隻の船が沈没します。
確率50%ですから。
そして、帰りは2隻の船のうち1隻が沈没します。
つまり、400人の遣唐使のうち、日本に帰ってこられるのはわずか100人ということです。
日本の超エリート300人が海の底に沈んでしまうのです。
戦争ならば犠牲者が出るのは当たり前ですが、これは戦争ではありません。
中国の政治体制、文化、宗教などを取り入れようとした、前向きな日本の戦略です。
300人の犠牲者を出してまで、中国のことを知りたかったのです。
これは、藤野英人さんの「投資家みたいに生きろ将来の不安を打ち破る人生戦略」で紹介されています。
藤野さんは、日本人は2つのグループに分けられると言っています。
ひとつは「失望を最小化する人たち」、もうひとつは「希望を最大化する人たち」です。
圧倒的に多いのは「失望を最小化する人たち」です。
この人たちは、「将来には、どうせ失望が待っている」と考え、失望を最小限に食い止めるため、リスクを回避します。
もうひとつの「希望を最大化する人たち」は、「将来は明るいし、挑戦したほうが喜びは大きくなる」と前向きに考える人たちです。
自分の成長、社会貢献するために、「自分にできることは積極的に取り組もう」と考えます。
「何もしないことはリスクだ」ということがわかっているので、変化を好み、自ら行動します。
今の日本は、リスクを取りたくない人がほとんどです。
挑戦には必ずリスクが伴います。
ですが、挑戦しない人が増えれば増えるほど、日本は衰退することだけは確かです。
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