人間というのは、どうしても白黒つけたがる習性があります。会議などでも、「○○部長の意見はどう考えても間違っている…」「□□課長の提案は会社のことを考えていないから却下だ…」など、誰が正しくて、誰が間違っているのかをジャッジしたくなります。ある意味、意思決定は白黒つけることですから、仕方のないことです。そこで今日は、白黒つけない意思決定についてわかりやすく解説します。
物事には、「重要度」と「緊急度」があります。
それに従って優先順位を決めるのが一般的です。特に経営者は重要度にウエイトを置いた意思決定をしなければいけません。
また、企業経営を行なっていれば、大小合わせて何らかの問題や課題が、毎日のように顕在化します。この問題や課題に対して、スピーディな意思決定が求められます。意思決定を下さず、白黒つかない中途半端な状態にしておくことを嫌う経営者はことのほか多くいます。
独自の「人蕩術(じんとうじゅつ)」を説き、自分の思い描く夢や願望を確実に達成する方法を指導する異色の指導者に「無能唱元(むのうしょうげん)」という人がいます。残念ながら平成23年に逝去しましたが、経営層に人気が高く、人生哲学やリーダー学の師として敬愛される存在でした。そして、問題や課題の捉え方について、おもしろい考察をしています。
スピーディな意思決定に異を唱えています。
「あきらめない、しかし、焦らない。その問題を未解決のまま放置しておき、あとは状況の変化を待つ、ということです。中国には"百年河清を待つ"という言葉があります。"未解決"というのは、諦めてしまうということではありません。つまり、"未解決のまま平気で待つ"ということです」と、無能唱元さんは言っています。
未解決のまま待つことも大事で、時間が解決してくれることもあります。
一方、ピーター・ドラッカーは、「経営者の条件」という著書の中で…
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ひとつの行動だけが正しく、他の行動はすべて間違っているという仮定からスタートしてはならない。自分は正しく彼は間違っているという仮定からスタートしてもならない。 ただし、意見の不一致の原因は必ず突き止めなければならない。
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と述べています。つまり、白=正しい、黒=間違っているという二元論を前提にしてはいけないということです。
たとえば…、
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明白でわかりきったことに反対する人は、バカか悪者に違いないと思ってはならない。 反証がない限り、反対する人も知的で公正であると仮定しなければならない。 したがって、明らかに間違った結論に達している人は、自分とは違う現実を見、違う問題に気づいているに違いないと考えるべきである。 もし、その意見が知的で合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければならない。成果をあげる人は、何よりもまず問題の理解に関心をもつ。 誰が正しく誰が間違っているかなどは問題ではない。
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つまり、明らかに間違った結論に達している人は、違う問題に気づいている可能性があるということです。正しい、間違っているというアウトプットではなく、どのような捉え方をしているのか、アウトプットの背景を考えることが重要であるということです。
そして、誰が正しいとか間違っているかなどは問題ではない、と言い切っています。ドラッカーも、白黒つけることの対する深い考察をしていたということです。
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