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執筆者の写真社長の大学★長谷川博之

社長の本音を代弁させていただきます


かつての会社組織は、従業員を使う経営陣と従業員の間には大きな溝があった。

だから、明確なピラミッド構造が出来上がっていた。会社組織の中で一番権力を持っているのは「社長」だ。そして、社長の指示命令で仕事をするのが従業員。そこで今日は、変わりゆく会社組織の現状についてわかりやすく解説する。



「労使関係」という言葉をご存知の方は、恐らく50歳以上だと思う。

労使とは、「労働者」と「使用者」のことで、両者の関係のことを「労使関係」と言うが、最近ではすっかり耳にしなくなった。



「労働者」の定義は、労働基準法9条によると「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」とされている。労働組合法3条でも、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義している。



一方、「使用者」とは、労働基準法第10条によると、「事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定義されています。 社長など経営のトップのことを指すと思いがちだが、課長や部長のようなポジションでも一定の人事権があれば、広い意味で「使用者」に当てはまることがわかる。今まで私は、取締役など経営陣だけが使用者だと思っていたが、労働基準法によると管理職も含まれるということだ。



このような関係を労使関係と言うが、多くの経営者と話をすると、年々、労使関係が逆転しているとでも言いたそうな人が多くなってきた。私も経営者なのでその気持はよくわかる。

会社にまつわるあらゆることの決裁権は経営者にあるが、「働き方改革」「人材不足

(売り手市場)」が顕著になってくると、経営者がだんだんと小さくならざるをえない。



今始まった話ではないが、かつてのように毎日残業があることは稀になってきた。

忙しくてもなるべく残業をするなという時代だから従業員は大変だ。しかし、効率よく仕事ができる環境を提供するのは経営者の仕事なので、時間内に仕事が終わらないのは一概に従業員のせいではない…。



従業員も「できることなら残業はしたくない」「土日休みの完全週休2日制がいい」、さらには、週休3日を導入した企業まで登場した。若い人たちは完全週休2日制は当たり前、できることなら週休3日の方がいいという人も増えている。残業や休みに関しては、政府が推奨しているので、今後も益々休みは増えて、益々残業が減るだろう。



さらに、人材不足が加速すると、経営者は仕事量をセーブするしかなくなる。

人材がいれば、残業をしてくれれば、休日出勤してくれれば、もっともっと仕事を受注できるのにできないもどかしさ…。しかし、従業員に無理を言えば、「辞めます」ということになる。



労使関係の逆転現象は、残業や休みのことだけではない。

「ちゃんと教えてくれない上司が悪い」「業務マニュアルもないなんて考えられない」「今どき飲み会ですか」「社員旅行は必要ない」など、従業員からは好き勝手を言われて、従業員の顔色を伺いながら経営にあたっているのが本当のところだ。ちょっときついことを言えば、「辞表」という切り札がある。



まだまだある。



社長がコンサルの導入を勝手に決めたとする。従業員は「社長、勝手に決めないでくださいよ。やるのは私たちですよ」と言われたという。そこでほかの案件は事前に「これについてどう思う。君たちの考えを聞かせてほしいと」従業員に言えば、「これは私たちの仕事じゃないです。社長が考えるべきですよ」と言われる始末。そして、「社長の判断が会社の命運を左右しますからね」だって…。



「社長なんてやってられない」「生まれ変わったら二度と社長をやらない」という社長もいる。労使逆転現象の中で悩み多き社長が増えている。




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