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執筆者の写真社長の大学★長谷川博之

経営者の責任と言いますが


中小企業にとって、社員の離職は命取りになることがあります。コロナ禍で「テレワークを継続しないなら転職する」という若者も増えています。また、昔からよくある退職の理由として、「給料が安い」「条件が悪い」「あの上司とは一緒に仕事ができない」などが挙げられます。



こうなると、経営者は自分を責めるようになります。 そこで今日は、経営者の責任についてわかりやすく解説します。



特に中小企業経営者は、心優しい人が多くいます。物事をビジネスライクに考えられず、情けに流されてしまいます。給料が安いと言われれば、何とかして上げることはできないかと考え、あの上司と一緒に働くのは嫌だと言われれば、部署の異動を考えたり…。

辞められると仕事に支障が出るので、できるだけ条件を飲んで何とか引き止めます。



大企業であれば、「代わりはいくらでもいる」と割り切っていますから、社員一人が辞めるからといって動揺はしません。むしろ、新陳代謝が良くなるくらいに考えている経営者もいます。時々、社員の入れ替えがないと、組織が陳腐化していくからです。



言い方は悪いですが、離職をチラつかせて合法的な脅しを行って、自分の要求を飲ませるようなことも、現実には多くあります。そして、会社に長く居座るという社員もいます。ですから、数年に一回、離職をチラつかせて、勤務条件を徐々に良くするのです。



いずれにせよ、社員が離職するというのは、大きな痛手です。辞表の提出は予告なしで突然やってきます。ですから、上司も経営者も防ぐことが難しいのが現実です。そして、経営者は自分を責めることになります。また、理由がはっきりしないは場合は、社内で犯人探しが始まる場合もあります。



このように、経営者にとって社員の離職は心が痛みますが、経営者である限り、最終責任は自分にあります…。こう考えがちですが、心の傷をう癒やすスキルを身につけることも重要です。



たとえば、離職する社員に対する「思い」「感情」「気持ち」「考え」「期待していたこと」を書き出します。これだけでも、心のもやもやが激減します。そして、これらは自分の勝手な期待だったということを自覚することです。意思を持った社員ですから、経営者の思い通りに仕事をするわけがありません。これが現実です。ですから、このような自分勝手な気持ちを手放すことが先決です。



専門家は、「このようなスキルを身につけることで、自分勝手な離職者への怒り、罪悪感、自責の念が昇華される」と言います。そして、「経営者である自分に責任がないこと」「悲しまないこと」「自分で新しい人生を歩み始めた人」と捉えるのです。



とかく中小企業経営者は、責任をひとりで被ってしまいます。だからこそ、「経営者は孤独だ」「経営者にしかわからないことがある」と、殻に閉じこもってしまいます。ですが、これは正しい認識ではありません。



経営者は神様ではありません。感情を持たないロボットでもありません。生身の人間です。ただ、企業経営者というだけです。とにかく、責任という縛りを緩めてください。



ある女性経営者が、こんなことを言っていました。

社内には様々な役割の社員がいます。経理、配送、営業、商品開発、人事などがありますが、経営者は経営をやる一担当者だと…。組織は上下関係もなく、フラットであれば、このような捉え方もできます。そう考えると、少しは気持ちが楽になるのではないでしょうか。



一緒に働いている限り、すべての責任が経営者だけにあるとは言えません。社員にも責任があります。責任の分担という発想が求められているのかもしれません…。




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