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執筆者の写真社長の大学★長谷川博之

絶対に契約に至らない商談とは?


私は今までに数多くの営業マンに同行して商談に同席させてもらった。 通常であれば、弊社がコンサルティングに入って、しばらくしてから同行営業を行うので大きな課題は発生しない。しかし、弊社がコンサルティングに入っていない企業の営業マンに同行すると、目を疑うような商談を行っていることがある。そこで今日は、営業マンの役割についてわかりやすく解説する。



先日、ある企業の営業マンに同行させてもらった。

同行といっても弊社がコンサルティングに入っているわけではないので、たまたま私の知り合いがこの企業の新商品を購入しそうな企業だったので、紹介をしただけだった。そして、最初の商談の時、私もお互いを紹介するために同席した。実はこのときの商談が、私にとっては大問題だったのである。



当日、商談に臨んだ営業マンはまだ入社して数ヶ月ということだったが、前職で営業職をやっていたので営業の基本はできていると私は勝手に思い込んでいた。それが間違いの始まりだった…。



名刺交換を済ませると「まずは会社の紹介をさせていただきます」と言って、会社のパンフレットを取り出して説明を始めた。続いて、商品チラシを取り出して、事細かに機能や効用、製造方法や原料の説明を始めた。実はこの段階で嫌な予感がしていた。この商談は商談というよりも、一方的に言いたいことを言うだけの独演会になるのではないかと…。



この商品で終わるかと思いきや、次の商品が出てきて同じように説明を始めた。

そして、次の商品チラシを取り出して、またしても説明を始めた。ここの間、時間は約20分。相手はどのように感じているのか表情を伺ったが、一応は真剣に聞いてはいた。一通りの説明が終わって「何かご質問はございますでしょうか?」と振ったが、「おおよそのことはわかりました」という回答だった。その後、商品価格の一覧表を取り出して、ロットと卸価格の説明に入ったわけだが、さすがにお金の話になると、「ロットが多過ぎる」「小売価格が通常の商品の1.5倍ですね」というような、より具体的なビジネスの話になった。



このような感じで、約30分間の商談を終えたのだが、私は釈然としなかった。

この営業マンが、このまま様々な企業と商談を重ねても、契約には至らないだろうというのが本音だった。そして、商品が悪いという言い訳をすることくらいは想像できる。



そもそも、アイスブレイクもなく、相手の状況をまるで聞かずに、いきなり会社案内と商品案内をするというのはどうなのだろうか?少なくとも弊社のコンサルティングでは、このような商談はやってはいけないと伝えている。その典型的な商談だったのだ。



今回のように紹介の場合、相手にニーズがあるのかないのか、もしあるとすればそのニーズが高いのか低いのかが明確でないこともある。いずれにせよ、まずは相手の状況、似たような商品を取り扱いしているのか、その商品の評判はどうなのか、その商品を購入している客層はどのような人たちなのか、このような商品はどのぐらい売れているのかなど、様々な情報をヒアリングして、その後、情報を整理して、自社商品のポジショニングとコンセプトなどを説明する。



この段階で相手に少しでもニーズが発生しているのであれば、次の段階として自社商品の詳しい説明をする。最後は、サンプル品の提供やデモなどを行って、その感想を聞くための次回アポイントを獲得する。正しい商談は、およそこのような流れになるが、そもそもの入口が間違っている。このような商談が成立するのは、既にニーズが発生しており、相手も買う気満々で、商談の時点でほぼ8割買うことを決めているような顧客だけである。



今時、このような商談を行っている人がいることに驚きは覚えなかったが、老舗に限ってこのような営業マンはことのほか多い。昭和時代の高度成長期ならいざ知らず、これだけ競合商品があり、しかも消費が低迷してるような時代にあっては、まるで効果のない商談手法だ…。弊社としては、この企業に対して営業コンサルテイングの提案をしたいと思っている。




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