この記事は、昨年12月に執筆したものです。 製造業の景気が悪いという話を頻繁に聞くようになってきました。
最初にこのような話を耳にしたのは昨年の暮れです。
そして、今年の春先になってリーマンショック以来の景気の悪さだという深刻な話も耳にするようになりました。
ただし、製造業といっても「金属加工」「樹脂加工」「木材加工」「食品加工」「金型」「印刷」「電子部品」など、非常に多岐に渡っています。
ですから、すべての製造業が景気が悪いというわけではないとは思います。
では、なぜ製造業の景気が悪くなったのでしょうか? 昨年までは製造業全般、非常に好景気でした。
マクロ経済的なことをいえば「米中貿易摩擦」「イギリスのEU離脱」「アメリカ政府によるイラン中央銀行への制裁」「サウジアラビアに米軍部隊を増派」などの現象が影響を与えていることは確かです。
また、アメリカの国債で長期金利と短期金利が逆転したという現象も景気が悪くなるというシグナルです。
製造業の景気が悪いということは、いわゆる「モノ」が売れていないということです。
または、日本のメーカーなどが、海外生産にシフトしているということも考えられます。 いずれにせよ、製造業の経営者に話しをうかがうと、かなり深刻な状況がうかがえます。
ですが、メディアではほとんど報道されません。やはり、東京オリンピックを成功させるために、あえて報道していないような気がしてなりません。
このような状況の中、製造業はどのような視点で事業を展開すれば良いのでしょうか?
今、世界は「パラダイムシフト」という大きな価値観の転換の真っ只中です。
「AI」「IoT」「ロボット」「クラウド」など、新たなテクノロジーが登場して普及しつつあります。
たとえば自動車業界を見ると、「従来のガソリン車」「ハイブリット車」「クリーンディーゼル車」「電気自動車」など、様々なタイプの自動車が混在している状況です。
このような中、ガソリン車と電気自動車では使う部品がまったく異なります。
そもそも、動力の仕組みが違います。
それに加えて、自動車は世界的に販売不振が叫ばれています。
世界最大の自動車市場である中国では28年ぶりの新車販売台数の前年割れ、そして、今年に入ってからも2桁割れが続いています。 この背景には、新たな排ガス規制導入により自動車の新モデルの発売を待つ買い控えがあると言われていますが、世界的に販売不振には変わりありません。
なんだかんだといっても、自動車の販売台数は世界経済の指標になります。
さて、製造業の不景気対策ですが、基本的に今までと同じものを製造することを前提に新しい取引先を開拓するのではなく、自社の技術を活かして今までとは違うものを製造して、異業種の取引先を新規開拓するのがベストです。
既存の取引先と同じ業界の新規顧客を探したところで、その業界自体が不景気であれば新規開拓をした意味がまったくありません。
であるならば、自社の技術を今までとは違う業界の取引先に提案するしかないというのが本当のところです。
ある意味、製造業にとってはいまだかつてない試練です。
たとえば、馬具を作っていたエルメスが、バックなどの革製品にシフトしたようなイメージがわかりやすいでしょう。
当然、顧客も変わります。
これを意図的に行うことが、これから5年の大きな経営課題となります。
時代と共に製造するモノも、変化せざるとえません。
企業も顧客も生き物ですから…。
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