人間の記憶や印象は、いい加減なものです。
「確かそうだったはず」「最近、問い合わせが少ないような気がする」など、確かなことを把握していないにも関わらず、ついつい自分の思い込みや印象で発言をしてしまうことが多々あります。
そして、もっと悪いのは、この発言につられて「それは問題だ!」と右往左往してしまうことです。
このようなことは、会社の中では日常茶飯事です。 これを回避するには、科学的な根拠=データを提示して分析をするしか方法がありません。
つい先日も、クライアント先の会議でこんなことがありました。
ここ数ヶ月、新規顧客が少ないということが議題に上がりました。
この会議は5~6名が参加しているのですが、参加者全員が「その通りだ!」と言います。
ですが、これは印象やイメージです。
正確には、新規顧客が少ないということではなく、新規顧客が少ないような気がするということです。
個人の意見と事実を混同しては正しい経営判断はできません。
そこで、過去3年間の新規顧客の数を確認することにしました。
そうしたところ、一昨年は70社、昨年は100社、そして今年は72社でした。
これが正確な数字です。
ということは、昨年に比べれば少ないが、一昨年に比べれば多いということになります。
昨年は例年以上に忙しかったので、なんとなく物足りなさを感じたのかもしれません・・・。
もし、正確な数字を把握しないまま、思い込みや印象のまま経営判断を下してしまうと、 無駄なお金や労力を使う可能性があります。 十分に注意したいところです。
このようなことがないようにするには、全社を挙げて曖昧な伝え方や表現をなくすことです。
たとえば、 「多分」 「恐らく」 「多い(少ない)」 「重い(軽い)」 「高い(低い)」 「今日中に」 「来週の半ばまでに」 「すぐに」 「急いではいない」 「至急」 などの言葉は、人によって受け取り方が大きく異なります。
上司が部下に、「これを至急お願いします」と指示を出したとします。
Aさんは、至急なのだから30分以内に終わらせないといけないと思っています。
ところがBさんは、終業時間までに終わらせればいいと思っています。
同じ言葉でも、人によって緊急性は大きく異なるということです。
なぜ、このようなことが起こるのかといえば、至急という言葉は非常に曖昧だからです。
ですから、至急という言葉を使うのではなく「1時間以内に終わらせてくれ」と伝えれば問題はないのです。
これと似たようなことが、企業内ではたくさんあります。
たとえば、言葉の意味です。
「コンセプト」という言葉を聞いて、正確な意味を即答できる人は少ないと思われます。
辞書を調べてみると「①概念。観念。②創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点」とありますが、社内全員がこのような意味を共有しているとは到底考えられません。
これと似たような単語に、「目的」「目標」「理念」「ミッション」「ビジョン」などがありますが、共通認識されていないというのが事実でしょう。
ということは、このような単語が使われた場合、人によっては捉え方が随分と違うということになります。
捉え方が違うということは、意味が違うということです。
よく考えてみれば、これは大変に恐ろしいことです。
正確な報告や連絡をしても、単語の意味を履き違えられると、正確な意味が伝わりません。
ということは、ミスを誘発する可能性が大きいということなのです。
単語の意味、気をつけたいものです…。
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