ある講演会に参加した人が100人いたとします。
そのなかで「これはいい」と思う人は1人。実際に行動に移す人は、「これはいい」と思った人100人に対して1人です。さらに、継続して行動する人は、「行動に移した人」100人に対して1人。だから、成功する人と成功しない人がいます。そこで今日は、なぜ行動できないのかをわかりやすく解説します。
継続して行動した人を成功者とみなすと、成功するのは100万人に1人です。
日本の人口は1億2千万人なので、成功者は日本全国に120人です。かなり現実的な人数です。ただし、どこからが成功で、どこからが成功ではないと言い切れないないので、何とも言えません…。
さて、行動できない原因はなんでしょうか?
「部下が行動しない」という経営者は多くいますが、なぜ行動しないのか(できないのか)を真剣に分析した人は稀です。結局、「馬を水飲み場に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」と諦めてしまう経営者がほとんどです。
この格言は、他人に機会を与えることはできても、その機会をどう活かすかは本人次第であるという意味を持っています。この格言は、教育や人材育成の場面でよく引用され、強制的に何かをさせることはできないという教訓を示しています。では、考えられる行動できない13の原因を紹介しましょう。
1.行動の必要性を感じない
2.行動の内容を知らない、理解していない
3.行動することのメリットが感じられない
4.行動しないことによるリスクやデメリットが感じられない
5.自分の価値観・行動規範に合わない
6.行動の必要性はわかっているが行動できない
7.時間がないので行動できない
8.お金がないので行動できない
9.切迫していないので行動を先延ばししてしまう
10.やり方がわからないので行動できない
11.めんどくさいので行動できない
12.不安に感じるので行動できない
13.生活・職場環境、人間関係、習慣により行動できない
このように13の原因が考えられます。
これらすべてを解消しようと取り組んだ経営者は、まずいないでしょう。ほとんどの人が行動しないことに対して、「怒る」「叱る」「ソフトに脅す(?)」「できない理由を聞く」程度でしょう。また、行動にブレーキをかける「行動特性群」と呼ばれるものがあります。これらは、人間が新たな行動を起こさないという、さまざまな科学的な裏付けです。
1.プロスペクト理論
人間の意思決定における心理的要因を説明する理論です。
利得と損失に対する心理的反応の非対称性を示しています。たとえば、100万円を得る50%の確率と、確実に50万円を得る選択肢では多くの人が後者を選びます。一方、100万円を失う50%の確率と、確実に50万円を失う選択肢では、多くの人が前者を選びます。
これは、利得の場面ではリスク回避的、損失の場面ではリスク愛好的になることを示しています。 新しい取り組みを提案する際、潜在的な損失よりも利益を強調することで、行動を促進できます。
2.保有効果(現状維持バイアス)
自分が所有しているものを、客観的価値以上に評価する傾向です。
たとえば、自宅の価値を市場価格より高く見積もったり、使い慣れた古い機器を新しいものに替えることを躊躇したりします。 新システムやプロセスの導入時、既存のものとの連続性を強調し、段階的な移行を計画することで抵抗を減らせます。
3.一貫性の原理
過去の言動や決定と一致する行動を取ろうとする傾向です。
環境保護に賛同すると公言した人は、その後実際に環境保護的な行動を取る可能性が高くなります。 小さな約束や宣言から始めて、徐々に大きな行動変容につなげていくアプローチが効果的です。
4.社会的証明
自分の行動を決める際、他人の行動を参考にする傾向です。
たとえば、混雑しているレストランを良いお店だと判断する傾向があります。 新しい取り組みの成功事例や、多くの人が既に採用していることを強調することで、行動を促進できます。
5.多元的無知
集団の中で誰もが同じように考えていると誤解することで起こる現象です。
授業中に「質問はありますか?」と聞かれても、誰も手を挙げないのは自分以外の全員が理解していると思い込むからです。 匿名のフィードバックシステムの導入や、小グループでの討論を促すことで、本当の意見や疑問を引き出せます。
6.傍観者効果
緊急事態において、周囲に人が多いほど個人の援助行動が抑制される現象です。
混雑した街中で倒れている人を見ても、誰も助けに行かないことがあります。 責任を明確に割り当てたり、個人の貢献を可視化したりすることで、この効果を減らすことができます。
7.社会的手抜き
集団作業時に個人の努力が見えにくくなることで生じる現象です。
綱引きでは、一人で引く時より集団で引く時の方が、個人の力の入れ方が弱くなる傾向があります。 個人の貢献を明確に評価するシステムの導入や、小規模なチーム編成を行うことで、この効果を軽減できます。
8.利用可能性ヒューリスティック
思い出しやすい情報や経験に基づいて判断する傾向です。
飛行機事故のニュースを見た後は、統計的には自動車よりも安全でも、飛行機に乗ることを怖がる傾向があります。 重要な情報を定期的に繰り返し伝えたり、印象的な方法で情報を提示したりすることで、適切な判断を促せます。
9.代表性ヒューリスティック
ステレオタイプや典型例に基づいて判断する傾向です。
「技術者は社交的でない」といった先入観で人を判断してしまうことがあります。 多様な事例や反例を提示することで、この偏見を減らし、より客観的な判断を促すことができます。
10.選択肢過剰
選択肢が多すぎると、かえって決断が難しくなる現象です。
商品の種類が多すぎると、どれを選んでよいか分からず、結局何も買わないということが起こります。 選択肢を適切に絞り込んだり、段階的な選択プロセスを設計したりすることで、意思決定を促進できます。
11.情報過剰負荷
処理しきれないほどの情報にさらされると、適切な判断や行動が困難になります。
たとえば、大量のメールや報告書に埋もれて、重要な情報を見逃してしまうことがあります。 情報の優先順位付けや、効果的な情報の要約・可視化を行うことで、適切な判断を支援できます。
このほかにも、「サンクコスト」「メンタル・アカウンティング」「コンファメーション・バイアス」「決断回避」「アンダーマイニング効果」「ホーン効果」なども「行動特性群」に含まれます。
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