心理学に、「返報性の法則」と呼ばれるものがあります。 人間は、他人から親切にしてもらったり、ギフトをもらったりすると、お返しをしなければならないという心理が働きます。 これを返報性の法則と呼びます。
これを逆手に取ると、意図的に親切にしたり、ギフトをプレゼントしてりして、お返しをさせるということもできます。
そこで今日は、返報性の法則を様々な視点からわかりやすく解説します。
ビジネスの現場、特に営業活動では返報性の法則は頻繁に使われます。 たとえば、見込客の役に立ちそうな情報を届けたり、お礼のハガキを書いたり、お中元やお歳暮を配ったり…。 これは、すべて返報性の法則を活用しようという活動です。 これは悪いことではなく、人間社会から返報性の法則を取り払ったらコミュニティが成り立たなくなります。 不義理な社会となり、そこら中でトラブルが発生しそうです。
このように、人間の生活に返報性はなくてはならないものである一方、意図が見え見えで感じが悪いと思う人もいます。 営業パーソンがアポも取らずに定期的に訪問して、ニュースレターなどのまったく売り込み色のない情報を届けるのも、「あなたのために、これだけの労力と時間を使っている」というアピールでもあります。 その見返りとして、何か仕事をくださいということなのです。 一方、仏教の世界に目を向けてみると、まったく違う考えがあります。 これは、「三輪空(さんりんくう)の教え」と言われるものです。 三輪空とは、3つのことをなるべく忘れて親切にしなさいということです。 3つのこととは、「私が」「誰々に」「何々をしてやった」です。 この3つを忘れるようにしなさいということです。
私達は、他人に親切にすると、見返りとして「お礼を言ってほしい」とか、「もっと喜んでくれてもいいのに」と、つい思ってしまいがちです。 そして、「何でお礼を言わないのか!」「何で喜んでくれないのか!」と立腹することもあります。 これが原因で、トラブルになることもあります。
また、相手のために尽くせば尽くすほど、「これだけ尽くしているのに…」「もっと感謝しなさい!」という気持ちが強くなります。 そうなると、親切の押し売りになってしまいます。 結果、相手も自分も良いことはなく、苦しむことになります。 何のための親切なのか本末転倒です。
お釈迦様は、こんなことを言っています。
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親切をした相手にお礼や見返りの請求書を突きつけなくても、 必ず、まいたタネは巡り巡って、あなたのところに返ってくるのだよ。
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と。
ですから、お礼や感謝がなかった時は、いずれ別の人からお礼や感謝があると思えばいいのです。
世の中とは、たいていそういうものです。 親切をした人からではなく、巡り巡って予期せぬ人からギフトがあります。
まずは、「私が」「誰々に」「何々をしてやった」という気持ちを忘れて、自然体で親切をすればいいのです。
親切とは、悩んでいる人に声をかけることばかりではありません。
時には、突き放すことが親切になることもあります。 親切のかたちにもいろいろあります。
親切の押し売りを捨てて、何も要求せずに、親切をすることで、感謝やお礼がどんどんやってくるようになります。
このように親切がトラブルになるのは、お金を介して売買されるものではないからです。 数値で推し量れないものの中にこそ、人間の本質が隠れています。 ●株式会社リンケージM.Iコンサルティングのオフィシャルメルマガの登録はこちら。
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